2024.01.048.働きがいも経済成長も

個性を発揮し活躍する「アート雇用」とは?

昨今ダイバーシティが叫ばれる世の中で、日本でも厚生労働省が民間企業の法定雇用率を2021年から2.3%に引き上げ、更には2023年1月には2024年度から2.5%、2025年度から2.7%へと引き上げをすることまで決定しました。

2.7%ともなると従業員を38人以上雇用している事業主は、①障がい者を1人以上雇用しなければならないというものです。

厚生労働省が発表した「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」によると法定雇用率達成企業の割合は48.3%と、半分以上の企業が未達成の現状です。

その中で今注目されているのが「アート雇用」です。

そもそもアート雇用とは

そもそもアート雇用とは、芸術家やクリエイティブな専門家が持つスキルや才能を活かし、経済的な報酬を得るための取り組みを指します。
芸術や文化の分野で働く人々に対して、安定した雇用や収入を提供し、クリエイティブな産業を支えることを目的としています。

その中でも障がい者アーティストを雇用する会社が多くあります。
その場合、在宅雇用を前提としているため、エリアを問わずに障がい者雇用を行うことができ、雇用によるオフィス環境の拡張や管理コストを抑制することができます。
アーティストが制作した作品は、企業の広報活動やオフィスの内装として活用されます。

そしてアーティスト側も企業から在宅で雇用されることにより、就業による環境の変化がなく、自身の特性を活かして活動を行い、経済的な自立を実現した上で創作活動を継続することができます。

特に海外の企業はいち早く取り入れているところが多く、
Accentureは多様性と包摂性を重視し、アートを含む様々な分野で障がい者の雇用を推進していて、企業内での取り組みやアートとの協力を通じて、障がい者のクリエイティブな才能を支援しています。

Microsoftではアクセシビリティと包摂性に焦点を当て、様々なプログラムを通じて障がい者のアート雇用を奨励し、Microsoftのアートコレクションには、障がいを持つアーティストによる作品も含まれています。
このように、先進的な企業では当たり前のように行われています。

大成で活躍する六車さんにお話しをお伺いしました

海外企業では数多く事例がありますが、日本での事例はまだ少ないのが現状です。
そんな中、大成株式会社は2023年6月よりアート雇用をスタートし、展示会、コンテスト等に企業名を公表し出展していただくことで企業のPRを行っています。

今回は大成で活躍する障がい者アーティストの六車さんにお話しを伺いました。

【プロフィール】
六車 泰俊(むぐるま やすとし)
年齢:30代
性別:男性
所属部署:ダイバーシティ部 ダイバーシティ課
出身:愛知県 名古屋市
得意な絵画:油絵、抽象画

-まず六車さんの制作意欲の源泉はなんですか?

障がいがあることの生きづらさや逆にポジティブな感情、言葉にできない感情など、とにかく感情をぶつけています。
色や形に載せることで良い面も悪い面も反映されているので、それをありのまま表現しています。

-どのような環境で制作をしていますか?

基本的には無音の状態で内観をしながら絵を描きますね。
ただ外で描くときは人の喋り声とかも聞きながらラフに楽しい気持ちで描くことが多くて、家にいるときは無音の状態で自分を俯瞰しながら描くことが多いので、絵もそれぞれの環境、心理状態によって変わっています。

-本当に感情そのままに表現されているんですね!1つの作品でどれくらいの時間がかかるんですか?

作品にもよるんですが、大体、S4(333×333mm)サイズで3日間くらいですね。
前回描いた「フェニックス」はF25(803×652mm)サイズで少し大きかったですけど、勢いで描いたので5日間くらいで完成しましたね。

実はこの「フェニックス」は鬱の症状が出ている時に描いた作品で、鬱でも身体の内側にパワーが溜まっているのは感じていて、その沈んでいたエネルギーを一気に出し切った感じでした。

そのため描き始めた当初は暗い色を塗っていたんです。そこから色を重ねていくうちに色も心もだんだん明るくなって自分自身が前向きに進んでいくような感覚でした。
だからこの作品(フェニックス=不死鳥)はそのときの自分の状況を重ね合わせてモチーフにしたんです。

-今後は挑戦してみたいことはありますか?

2つあって、1つはデジタルアートです。タブレットを使って絵を描いている人が多くて、私も水彩画や油絵を描いてみたいです。
もちろんアナログの良さはありますが、より気軽に描けますし、アナログとは違って描き直せたりもしますし笑、やってみたいですね。

そしてもう1つは半立体の作品を作ってみたいです。木を彫ってそこに色をつけるみたいな。いつかやってみたいことですね。

-ぜひその作品も社内に展示したいですね!今、実際社内や展示会でご自身の作品が展示されていることはどう思いますか?

誰かに見てもらえるということは自分が制作する上でとても大きなモチベーションになっています。
飾ってほしいと言ってもらえることもすごく嬉しいですし、そういった方々のおかげで今の制作ができているので非常にありがたいです。

だからこそ大成に入社できて良かったですし、働いていてとても安心感があるので、これからも自分の感情を最大限表現して皆さんに喜んでもらえたら嬉しいです 。

社内の反応は?

このように六車さんにとってはポジティブな取り組みになっているようですが、社内の反応はどうなのでしょうか。メンバー数人にお話しを伺いました。

-会社がこのような取り組みをしていることについてどう思いますか?

障がい者雇用の新しい形を創出するうえで、とても先進的で画期的な取り組みだと思います。このアート雇用を通して、「障がい」があったとしても活躍できるフィールドが沢山あるということを多くの人に知っていただきたいです。
新卒採用担当として感じることは、学生もSDGsなど世間のトレンドにすごく敏感になっており、こういった取り組みを前向きに進めていることによって、当社にもプラスのイメージをもっていただけているのではないかと思います。

-今後六車さんにこのようなものを作って欲しいという要望はありますか?

「じゆうな発想」で六車さん独自の世界観で多くの人を魅了する作品を作っていただきたいと思っています。
オンライン上で学生との面談を行う機会が多いので、オンライン会議にて使える背景などがいいかなと思いました。六車さんの絵は、優しい雰囲気を感じるのでそういった絵が背景にあることで、より学生に親しみやすい印象を持っていただけるのではと感じました。

このようにメンバーのみなさんもポジティブに捉えている方が多く、アーティストにも、企業にもプラスな要素が多くある取り組みになっているようですね。

まとめ

今回は大成が現在注力しているアート雇用について、実際に活躍されている六車さんにお話しを伺いました。今後も当社では六車さんの作品が様々な方に見ていただけるようバックアップしていきます。当社のダイバーシティポリシーである「多種多様な人材が様々な環境で活躍し、変わりゆく時代と共に成長する組織を創る。大成株式会社はDE&Iを推進します。」を体現すべく、様々なマイノリティ人材の活躍を支援し、全従業員が安心できる職場環境作りをこれからも行ってまいります 。

六車さんの作品紹介

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