2022年に厚生労働省が発表したデータによると、日本における男性の育児休業取得率は13.97%。
この数字は近年上昇傾向にあるものの、夫婦共働きが当たり前になっている現代においては、もっと伸ばしていかなければいけない数字であることは間違いないでしょう。
依然男性が育休を取得していない理由としては「職場の人に迷惑をかけられない」という仕事面の理由から、「職場全体で男性が育休を取得しづらい雰囲気がある」という文化の側面も存在します。
そこで今回は実際に大成株式会社の中で育児休暇を取得した男性社員と女性社員にインタビューをし、育児休暇のメリットや男性が取得する意義について聞いてみた。


ミルクだけで1時間?深夜も寝られない?経験してわかる子育ての大変さ
    本日は宜しくお願いします。まず育休取得以前の話になりますが、実際に妊娠がわかってから、またお子さんが産まれてから、仕事や生活で大変だったことはありましたか?

松野
 

蛭田
    私はお腹に赤ちゃんがいるので、お酒が飲めなくなるし、遅くまで遊べないし、制限されることが多くなりましたね。
    もちろん体調が悪いと早退もすることがあったので、その場合は給与面でも影響がありました。
 
    制限されるというのはプライベートとお仕事の両方ですか?

松野
 

蛭田
    そうですね。重い荷物を持ったり、長時間歩いたりするなどできないことも増えます。
    人によってつわりの種類が違うと思うのですが、たくさん吐く人とか、食べて気持ちを落ち着かせる人とか、出勤どころじゃない人もいますし。私は食べて気持ちを落ち着かせるタイプだったので、事務机の中に常に菓子パンとかを入れて気持ちを落ち着かせていました。
 
    えぇ!そんなにいろんなタイプのつわりがあるとは知らなかったです…。松井さんはどうでしたか?奥さんが体調不良の時に、仕事を早退するとかはありましたか?

松野
 

松井
    全然なかったですね。奥さんがかなり身体強くて、特に気持ち悪くなることもなく。
 
    すごいですね。奥さんもお仕事はされていましたか?

松野
 

松井
    奥さんはパートで働いていたので、産まれる3ヵ月前ぐらいには仕事を辞めて、自宅であまり負担にならないように、家事をしていました。
    だから仕事に関しては子供が産まれる前も後も、僕は何ら変わりなかったです。
 
    そうなのですね。子育てについてご夫婦で衝突したことがあれば教えて頂けますか?

松野
 

蛭田
    私は子育て1年目で不慣れな部分がありました。少しでも自分の時間も欲しくて。だから、例えばオムツ交換するにも旦那と分担したいなと思うときもありました。
    初めの頃はお風呂に入れるのも、オムツ変えるのも楽しいんですよね。でもだんだん慣れてくると、夫婦でちゃんと分担してやりたいなと思うようになりました。
 
    そこの役割分担はたしかにぶつかりそうですね…!松井さんはありましたか?

松野
 

松井
    そうですね。奥さんが赤ちゃんの面倒を見たいという考えだったので、奥さんが赤ちゃんのお世話をほとんどやって、僕は家事を担当するという役割分担をしていました。
    その中でもミルクをあげる役割は僕が担当していて、ちなみにウチは母乳ではなく全部ミルクだったので、ミルクを作って、水で冷まして、赤ちゃんが飲むのも40分ぐらいかかったりして。トータルでミルク一回1時間程かかるので、僕が言うのもなんですけど、ミルクを担当するだけでも多少奥さんの助けになるのかなとは思いました。
 

蛭田
        初めの頃って、3時間か4時間おきにあげなきゃいけないじゃないですか。松井さんはどうされていましたか?
    
 

松井
    そうですね。それこそ3時間ごとにあげていました。夜中のうちの二回は僕が担当するように分担して、そうすることで奥さんが6時間くらいまとまって寝ることができました。
 
経験したからこそ言える。男性は育休を取るべき?
    お仕事もされているから大変ですよね。
    松井さんは、育休を取得されてよかったなと思うことは何かありますか?

松野
 

松井
    単純に奥さんの負担を減らせるということですね。特にミルクは分担して行わないと寝ることができないので本当にしんどいと思うんですよ。子供が産まれるってこんなに大変なんだって実感しましたし、特に最初の3ヶ月はミルクで1時間取られて、またオムツ換えるのに15分取られて、もう寝る暇がありませんでした。本当にきつかったですね。
    男性側って育休を取らないと本当の育児の大変さを知ることができないから、絶対取ったほうがいいなって、育休をとって改めて思いましたね。
 
    なるほど。ちゃんと育休取得することで、女性の大変さが身に染みて分かるってことですね。蛭田さんの旦那さんは育休取得されましたか?

松野
 

蛭田
    取ってないですね。だから子供が産まれる前に母親教室と言って育児について学ぶ場所があるんですけど、父親ってなかなか仕事で来られないので、私は母親教室で教わりましたが、旦那は産まれてからの0スタートなので、私が先生になってミルクのやり方を教えなきゃいけないっていう感じでしたね。
 
        育休から仕事復帰する時に大変だったことはありますか?
    

松野
 

松井
    特に何か新しいことが増えたってこともほとんどなく、職場の上司達も「おかえり」という雰囲気で、スムーズに受け入れてくれましたね。
 
    なるほど。良い環境ですね…!女性はまた違いますか?

松野
 

蛭田
    そうですね。逆にまた同じ場所に戻れるとは思っていませんでした。自分の居場所があるのかという心配とどれくらいの期間育休を取ろうという悩みもありますし、あと保活ですね。
 
    保活って何ですか?

松野
 

蛭田
    保育園活動の略です。保育園に子供を入園させるための活動です。
 
    保育園活動のことですね!復帰された後は時短勤務でしたか?

松野
 

蛭田
    時短勤務しましたね。はい。
 

松野
 

蛭田
    う〜ん。逆に時短勤務していたら、来てすぐ帰るような気持ちになって、自分が必要ないような気がしていましたね。
 
    そうなんですね。
    子育てして働いてって大変だと思うのですが、それはどうでしたか?

松野
 

蛭田
    初めの頃は、家の近くの保育園に子供を預けられなくて、だいぶ距離がある場所まで子供を送ってから通勤。帰りも同じ流れだったので大変でした。
 
    大変ですね...。お子さんが保育園に入園したのは何歳くらいですか?

松野
 

蛭田
    一歳半ぐらいですかね。
 
    まだまだ大変な時期ですね。体力的にきつくなかったですか?

松野
 

蛭田
    ちょっときつかったですね。いろんな意味で…。もちろん義理の両親にもお世話になりましたし。
 
    それも気を遣いますよね。そこまで想像つかなかったです。
    男性でこれから育休とりたい。取ろうかなって悩んでいる人に対して育休取得はおすすめはしますか?

松野
 

松井
    そうですね。もちろんおすすめはします。僕の場合は、育休をとる時に会社の上司に、「復帰した時にここの現場に戻りたいです」っていうのを事前に話していたので、そのような根回しというか交渉はしておくことが大切だと思います。
 
    リアルな声ですね。おすすめはするけど、状況によりますよね。
    お二人とも現場で働いている中で、周りの方々の理解が重要であると思いますが、産休・育休を取る時はどんな感じだったんですか?

松野
 

蛭田
    取るときはほとんど会社にいましたが、上司は理解していただける方が多く「いつから?体調大丈夫?」とか、気遣いもありました。
 
    サポートもあったのですね。

松野
 

蛭田
    はい。子育ての先輩がたくさんいましたので。男性上司の方々は奥さんの大変さも理解されている方が多かったので。
 
    なるほど。松井さんはどうでしたか?

松野
 

松井
    そもそも男性が育休を取れるっていうのを知らない方も多いと思います。僕みたいに取る人が増えていけば、いずれ当たり前になるのかなと考えています。
 
    めちゃくちゃいいですね!お二人がこれを当たり前にすれば、会社としてはすごくいい風潮になりますよね。
    最後に、今後会社としてこうすればもっと男性も育休取得しやすいんじゃないか!みたいなことはありますか?

松野
 

松井
    そうですね。育休を取りたいって言った段階で、もう少しきっちりとした段取りがあると取得する側も安心できたのかなと思いました。そうするとこれから取得したい人は助かるのではないかなと。
 
    なるほど。ありがとうございます!

松野
 
最後に
今回お二人にインタビューをさせて頂きましたが、やはり女性の育休取得は当たり前、男性は珍しいという概念がまだ残っているなと感じました。
しかし松井さんのようなパイオニアが社内で現れると活きた経験が蓄積され、会社内の文化、人事制度等もより良いものに変化していくだろうと思います。