2023.10.138.働きがいも経済成長も

大成が掲げる人的資本経営の中身とは

近年、企業の経営戦略における重要なキーワードとして「人的資本経営」を掲げる会社が増えています。
人的資本経営とは、モノやカネの様に「ヒト」を資本として捉えその価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方を指します。

人的資源がヒトをいわゆる「消費」の対象で捉えることに対して、人的資本はヒトを「投資」の対象として考え、会社としていかに社員の価値を上げていくかを考え経営を行うということです。

今回の記事では人的資本経営における日本や海外での取り組み、具体的な成功事例を紹介すると共に、大成株式会社が行っている人的資本経営の内容について代表取締役社長、加藤憲博に語ってもらった。

人的資本経営の具体的な成功事例とは

まずは実際に日本や海外の企業における人的資本経営の取り組みについていくつか紹介します。

1.トヨタ自動車

トヨタは、長年にわたり人的資本経営に注力しており、その中でも「カイゼン(改善)」文化の確立が成功事例として挙げられます。
カイゼンとは、現場の従業員たちが意見を出し合いながら、自分たちの力で作業のやり方などをよりよくなるように変えていくボトムアップ型の活動で、
この活動によりアイデアや提案を収集し、製品やプロセスの改善に活用しています。結果、生産性向上や品質改善が実現しているのです。

2.LIXIL

LIXILは、従業員の主体的なキャリア形成を目的に、社内公募制度の「Job Posting」や、社外における副業制度を導入しました。Job Postingでは、部門の垣根を越えて従業員がやりたいことにチャレンジできる環境が整っています。
また、社外で副業に取り組むと、自社で得られないスキルや体験を通じてこれまで社内ではなかった価値創造や人材の多様化が進みます。

3. Google

Googleは従業員の幸福度を高めるために多くの施策を行っており、例えば無料の食事提供、ストレスリリーフの施設、家庭との調和をサポートする制度を導入しています。
その結果高い従業員満足度、創造的なアイデアの促進、革新的なプロジェクトの成功といった成果が上がっています。

これらの企業の事例は、人的資本経営が企業のパフォーマンスに直接的な影響を与えていることを示しており、
企業は、従業員のスキル開発や満足度向上に投資することで、生産性、収益性、競争力の向上を達成する可能性が高まるということです。

まずは他社の事例を参考にしながら、自社にとって何が必要かを考え実践することが重要です。

これまでの人的資源経営からの脱却

上記のようにさまざまな企業が人的資本経営に取り組み、成果を上げている中で、大成株式会社も第8次中期経営計画の重点課題として「人的資本経営」を掲げています。
今回は2023年6月27日に代表取締役社長 CEOに就任した加藤憲博に会社が掲げる人的資本経営の具体的な内容を聞いてみた。

-まず、そもそもなぜ中期経営計画の重点課題として「人的資本経営」を掲げたのでしょうか?

当社はまだまだ労働集約型産業と言われており、社員・現場の方々によるサービス提供によって企業が成り立っています。
ですので、人的資本経営とは切っても切れない関係です。

実は私がこの会社へ来たばかりの頃は、目先の業績を意識しすぎて、どうしてもヒトにコストをかけず、一つの資源としか見ていなかった節がありました。
今後の日本において労働人口が減ることは明らかであり、今働いてくれている方々がなるべく流出しないように、更には会社としてどれだけヒトに対して投資ができるかということを、我々のような業界だからこそ考えていかなきゃいけないと考え人的資源から人的資本に切り替えていくということを当社の重点テーマとして挙げることにしました。

-ひとえに「人的資本経営」と言ってもどこに重点を置くのかは企業によってバラバラですが、大成として重要視しているポイントを教えてください。

1つはジョブローテーションの活発化です。
当社の場合、建物の管理業務の仕事というのは清掃・警備・設備管理等がありますが、例えば清掃部門から警備部門へ業務部門間を異動することはなく、いわゆる業務別の管理体制でした。
しかし当社に必要なのは一つの偏った知識を持つことではなく、建物管理におけるマルチな知識を持つことであり、今年の4月から業務別の管理体制を建物別に変え、建物管理の複数業務ができる人材を育成できるよう進めています。

そして2つ目は人事制度の改革です。
2年前に一般職制度を廃止し、男女においてのキャリアの壁はなくなりました。
さらに来年の4月に向けて、現場の社員の方々がより分かりやすい評価基準の下でしっかりとしたキャリアステップアップができるような人事制度を構築しているところです。

-戦略を掲げて、実際に実行に移す中で一筋縄ではいかないことが多々あると思いますが、具体的に苦労されていることはありますか?

先ほど話したような組織改革を行う中で、これまでは業務ごとで異なって設定していたルールを1つにまとめ、統一化した人事制度を作るというのは、制度を作る側も社員目線でも戸惑いはありますよね。
その中でもまずは評価制度を正しく、透明性のある評価軸の下で、若い社員たちが明確なキャリアアップが想像できるような制度設計が重要だと思っていますので、今まさに非常に苦労している段階ではあります。

性別関係なく働きやすい職場にするために

-大成における今後の女性社員のキャリアアップ、管理職へのステップ等はどのように描かれているのでしょうか?

DE&Iの観点から多様な人材の登用と社内環境の整備は急務です。特に「女性活躍」では、これまで研修をはじめ女性社員に対してキャリアアップの明確な道筋を示すことができていなかったので、その部分においては性別関係のない制度設計や研修制度を充実させていきます。

そして何より一番重要なのは会社の風土だと認識しています。
意識というよりも会社全体の風土、モラルというものを従来のスタイルから抜本的に見直さなければいけないと思っていますので、そこに関して私がトップとして、取締役や部門長に対して口酸っぱく言い続けなければいけないと思っていますし、制度の運用と風土醸成の両輪が上手く回っていけば女性管理職は増え、数年後には間違いなく女性役員が誕生していくと信じています。

-最後に、人的資本経営を掲げているからこそ、今、そして今後入社される社員の方々にどのような成長を遂げてほしいとお考えでしょうか?

若い社員を筆頭にすべての社員に対しては、さまざまなことに失敗を恐れずチャレンジしてほしいなと思っています。
というのも、当社はビジネスモデルが創業当時から変わっていない部分が大きいのですが、時代とともに今そのベースが崩れてきています。そうなると必然的にこれまでやったことのないことにチャレンジしていかなければならないですよね。

挑戦に失敗はつきものですから、ミニマムスタートでもいいので、それぞれの社員が責任を持って“自分の仕事だ”と言える仕事を作ってほしいです。
サラリーマン(ただ賃金をもらう人)ではなく、ビジネスマン(自ら仕事を生み出す人)として働く社員に対しては会社として全力でバックアップしますし、たとえ失敗したとしても、やろうとした気持ちとその失敗を糧にして次にまたチャレンジしてもらうことが大事だと思っているので、そういった方々が一人でも多く生まれてくると、会社にとっても非常に良い職場風土になりますし、ビジネスマンとして大きく成長できるのではないかと期待しています。

最後に

会社経営は「ヒト」という資本によって大きく左右され、活かすも殺すもその会社次第。
人的資本経営の成功事例は探せばいくつも見当たると思いますが、成功するまでの過程を知る機会はなかなかないと思います。
今後本メディアでは大成の人的資本経営の施策の進捗についても紹介していきながら、活きた知見をできる限り紹介できればと思っております。

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