2024.10.315.ジェンダー平等を実現しよう8.働きがいも経済成長も

「100%のロールモデル」になれなくていい。大成の人事課長が語った、女性活躍推進の本音とは?

女性活躍推進をテーマにこれまでの葛藤と課題の乗り越え方を発信

 

——山田さんのこれまでのご経歴、現在の業務内容について教えてください。

私は新卒で保険会社に入社し、その4年後、大成に人事として中途入社しました。2020年から産休・育児休暇を取得し、復職後は総務部にて時短で1年間勤務しました。その後、再び人事部に異動し、2024年からは同部課長に就任し、現在に至ります。

 

具体的な業務内容は、マネジメント業務の他に、働きやすさ・働きがいのある職場環境を整えるための社内制度の企画・設計や人材育成に関するお仕事をしています。

 

——現在の働き方について教えてください。
現在はフルタイムで働きつつ、時差出勤制度を活用しています。早めに出社し、保育園のお迎えに間に合うように退社をする、という働き方がルーティンです。社内の制度を活用しながら、育児と仕事の両立に取り組んでいるところです。

 

——「女性リーダー育成プログラム」登壇が決まったときの心情について教えてください。
「ありがたい」という気持ちが強かったです。
同じ境遇にいる社外の方々と、キャリアについて話す機会はこれまでなかったので、大変貴重な経験だと感じました。また自分が登壇することで、大成のことを知ってもらう良い機会になると考え、また、社内にもいい刺激を与えられるのではと思いました。個人的には、自身の経験を振り返り、整理する機会にもなりました。

 

100%のロールモデルなんていない

——当日の登壇で、伝えたかったことについて教えてください。

大きく2つです。まず1つ目は、ロールモデルを期待されるプレッシャーとの付き合い方です。

男性と比べると女性のリーダーはまだ少ない現状なので、周りにロールモデルがいないとか、あなたがロールモデルになって欲しい!と言われて、それに悩んでいる人もいると思います。そのような状況でも「ロールモデルにならなくちゃ」とムリをするのではなく、自分のスタイルを大切にし、肩の力を抜いて前に進むことが大事だとお伝えしました。

2つ目は、一歩踏み出すことの大切さです。

現状を打破したいとき、不満をこぼしても、悩んで塞ぎ込んでも何も解決しません。仕事と家庭の両立に悩んだときの突破口は小さなアクションからでした。たとえば、うまくいかないと思ったら視野を広げて外の世界から情報収集したり、時間が足りないと思ったら自分なりの時短術を考えたり、しんどいと思ったら自分の機嫌を自分で取りにいったり。

何かを変えるのに必要なのは大きな決断や覚悟ではなく、視点を変えて、小さくても自力で一歩を踏み出すことができれば、道は拓くと思っています。

▲第2回『女性リーダー育成プログラム』当日の様子

——「ロールモデルを期待されるプレッシャー」は、山田さんも感じていたのでしょうか?はい。入社した当時、女性の総合職は私を入れて4名、リーダーと呼べるポジションには誰もいませんでした。ライフイベントを経て活躍する女性総合職のロールモデルの創出は人事として重要なミッションだったと思います。

当時の私はそれを特別意識していた、というわけではなく、「働くなら成長できるように頑張りたい」という気持ちで、頑張っていればいつかは誰かのロールモデルになれるかもしれない、くらいの考えでした。

ですが、自分が採用に携わった後輩が入社するにつれ、見本にならねばという意識が強まり、次第にプレッシャーを感じるようになりました。後輩のために「仕事も育児も両立している姿を見せなければ」と思い、ムリをして、できている風の自分を演じようとした時期もあります(笑)とくに復職後、時短勤務だった約1年は、苦しかったですね。

限られた時間で結果を出すにはどうすればいいのか、新聞や雑誌、Web記事を読み漁り、いろいろな人の仕事術、精神論、キャリアの考え方を勉強しました。学習と内省を繰り返すなか気づいたのは、私という人間は、多くの人の「いい部分」を取り入れて形成されている、ということでした。

ということは、後輩たちも、私だけでなくいろいろな人を見て、エッセンスを抽出して参考にしているはず。そう考えると、私は後輩たちにとって「100点満点の見本」でなくてもいいと思えるようになりました。それからは少し肩の力を抜き、理想の自分を演じることはやめて、泥臭い部分も含め自然体でいられるようになりました。

環境づくりの根底にある、一人ひとりへのヒアリング

——山田さんの思う、女性の理想的なキャリアについて教えてください。

結論からいうと、決まった形はないと考えています。男性も含め、理想のキャリアは人それぞれです。各人が目指すワークライフバランスも、置かれている環境も違うなか、万人に共通のキャリアなど存在しないのです。大切なのは、その時々で自分が心地よいバランスで働ける環境をつくることだと思います。

 

——メンバーそれぞれが理想のキャリアを実現させるため、人事としては、どのような支援をおこなっているのでしょうか?

具体的な取り組みとしては、キャリア自律のサポートと、働きやすい環境をつくることの大きく2つです。

キャリア自律のサポートは、年に一度の事務系職種約180名を対象とした面談があります。面談では一人ずつ約1時間おこない、キャリアについての悩みや人事制度に対するフィードバックなど、ざっくばらんに話を聞きます。

一見すると非効率で、手間のかかりすぎる取り組みに思われるかもしれません。ですが、一緒に働く仲間の話を直接聞く機会は貴重で、この時間がなくては私たち人事は、社員一人ひとりの働きやすい環境づくりを実現できません。数年前から始めた本取り組みは、ある程度社内に定着してきたので、今後は各部署の上司に引き継いでいければと考えています。そのぶん人事は、別テーマでのヒアリングを新しく始められればと思っています。

環境づくりはまだまだ道半ばです。昨年度は事務系職種の人事制度の見直しをおこない、選択できるキャリアステップを広げたり、仕事の頑張りがきちんと評価に反映される仕組みに変更しました。現在は専門職種の人事制度に着手しています。

環境づくりに終わりはありません。大成の皆さんにとって、ライフスタイルを実現しつつ、やりがいと成長を感じて働ける環境を目指し、試行錯誤を続けたいです。

 

ゴールは、「大成で働いてよかった」と思われること

——山田さんの今後の展望について教えてください。

引き続き、働く環境づくりに力を入れたいです。とくに来年度は法改正に伴い、育児や介護に関連する休暇制度を見直し、さらに充実させる予定です。将来的には働く方々のライフ全体を支えられるような、柔軟な制度を取り入れたいと思っています。たとえば、病気になったときに有給休暇を使わずに休めたり、お孫さんが生まれたときに育休が取れたり、今よりも一人ひとりに寄り添った制度がつくれないか模索しているところです。

また、会社全体として社内コミュニケーションの活性化にも力を入れています。直近だと、「大成グループ感謝祭」が開催されます。大成に携わるメンバーが顔を合わせ、直接交流できる機会となるので、私も楽しみにしています。人事としても、社員同士が気軽に食事をしたり、普段関わりのないメンバー同士がコミュニケーションを取れる場をつくりたいと考えています。仲間のことをより深く知るのと同時に、自分自身について見つめ直せる機会を増やしたいです。

最終的な目標は、「大成で働いてよかった」と思われる会社にすることです。退職や定年後、振り返ったときに、大成で過ごした時間が充実していたと感じてもらえる会社を、人事部全体でつくっていきたいです。個人のキャリアについては、具体的なゴールを設定しておらず、正直なところ肩書にもこだわりはなくて(笑)私にとっては、先にお伝えした会社づくりを実現させることが夢です。

登壇時に話した「実ほど頭を垂れる稲穂かな」は、実は学生時代からの私のモットーです。これから先、どのような立場になっても周りの方々からの支えに感謝しつつ、自分らしく一歩ずつ前進していければと思っています。

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