2025.08.048.働きがいも経済成長も10.人や国の不平等をなくそう

大成が全社で挑む「挨拶力」アップ。ビジネスマナーを越えて、よりよい社会づくりに貢献する

2024年末、多様なビルサービスを提供する大成は東京本社・名古屋本社にて挨拶研修を実施。社長、役員含む社員が集まり、挨拶の仕方やその意味を再確認しました。同研修は今後あらゆる拠点で実施し、全社員を対象に実施いたします。

リモートワークが一般化し、コミュニケーションよりも業務効率化が重視されがちな時代、なぜ今、全社で挨拶力向上に取り組むのか。発案者である代表取締役社長の加藤 憲博、研修設計から研修運営までを担当した大成ヒューマンリソース(以下、THR)より話を聞きました。

 

 

きっかけは、一人の警備スタッフの挨拶

——挨拶研修を始めようと思ったきっかけを教えてください。

加藤:きっかけは2024年末の、とあるお客さまからのうれしい言葉でした。その方曰く、大成の警備スタッフの挨拶が素晴らしく、毎朝出社するたびに元気になるとのことでした。さらに、別のお客さまからも、同じ警備スタッフの挨拶を褒めていただき、多くの人たちに影響を与えているのだと知りました。

そこで、現場を見に行くと本当にハキハキと挨拶をされる方で、お客さまの気持ちがわかりました。言ってしまえば、出社をした方々に向かって大きな声で「おはようございます」と声をかけているだけです。しかし、笑顔で相手の目を見て、心を込めて挨拶をする姿に、私も心動かされました。

大成は設備管理、清掃、警備とさまざまなファシリティマネジメントサービスを提供しています。それらはすべて、サービス業に分類され、お客さまからご評価いただくうえで重要なポイントの一つが、挨拶だと考えています。

たとえば清掃スタッフがむすっとした顔で仕事をし、誰かとすれ違っても挨拶をしないなら、すれ違った人はいい思いをしないでしょう。たった一言「おはようございます」と声をかけられれば、少しでもポジティブな気持ちになるはずです。私たちの技術力がどれほど高くても関係ありません。お客さまからすれば、挨拶の良し悪しが清掃スタッフの印象につながり、その印象は会社のイメージにつながります。

であれば、挨拶の重要性を正しく理解し、褒められた警備スタッフのようなクオリティで誰もが挨拶できるようになれば、大成にとって大きな強みになると感じたのです。今の強みを伸ばしつつ、大成のサービスをさらにレベルの高いものにするために、全社員の挨拶力を向上させるための挨拶研修実施を決めました。

 

挨拶は、相手を大切に思っているサイン

——挨拶研修の具体的な内容を教えてください。

THR:大きく2部にわかれています。第一部では、挨拶の意味を解説し、第二部では挨拶の具体的なやり方について実践形式でお伝えしました。

組織ではハラスメントやアンコンシャスバイアスといった問題で、時によっては人間関係が悪化する傾向がみられます。ダイバーシティ&インクルージョンを推進する上で、挨拶はそのような問題解決のカギになると考えています。

——後半の具体的な内容についても教えてください。

THR:後半では最初に、挨拶の基本ルールをお伝えしました。目を見て、体を向け、そして声に心を込める。一見簡単なことのようですが、意識できている人はそれほど多くないのが現状だと感じています。

続いて、参加者同士でペアをつくり、実際に挨拶し合ってもらいました。自分が意外とできていないことに気づいてもらい、本当に心が伝わる挨拶の仕方を体で学んでもらうことが狙いでした。

加藤:後半セクションでとくに印象的だったのは、「いらっしゃいませ」という言葉は、言われた人からすると「返事ができない」ということです。挨拶はキャッチボールのようなもので、互いに言葉を伝え合うことで成立します。「いらっしゃいませ」だけだと、言われた側は返す言葉がなく、軽く会釈をするくらいしかできないのです。

そこに「こんにちは」「おはようございます」をつけるだけで、相手も「おはようございます」と返しやすくなります。まったく面識がなくとも、挨拶を通して一度会話が成立すれば、その瞬間、両者の間には今までなかった関係性が生まれます。次の会話が生まれやすくなり、お互いへの印象もグッとよくなるはずです。

THR:今回の研修は、単にビジネスマナーとして挨拶の仕方をお伝えする研修ではありません。挨拶がもつ意味と力を、参加者に理解・実感していただくことが狙いでした。

 

 

全社対象の研修で、会社全体の価値を高める

——挨拶研修において、とくに重視したポイントを教えてください。

THR:全社員を対象にしているところです。

大成ヒューマンリソースは長年、多くの企業さまに向けて研修をおこなってきましたが、とくに挨拶は一部の人たちだけができるようになっても、会社全体としては大きく変わりません。研修を受けた人がせっかく頑張って実践しても社内で浮いてしまい、いつの間にか元の挨拶の仕方に戻してしまうことも多いです。

その点、今回は社長が強いお気持ちで全社を対象に研修を実施していることは、挨拶力向上の観点で見ると非常に効果的だと感じます。

加藤:各拠点で複数回、研修を実施することに加え、研修を受けた社員が別の社員に伝える場もつくる予定です。頭で理解していることと人に伝えることには大きな違いがあります。研修受講者が、学んだことをアウトプットできる場を用意しつつ、会社の隅々まで挨拶のマインドとスキルを行き渡らせることが狙いです。

また、社内で定期的に開催される会議や会合で、各社員が感じた挨拶の重要性について、発表するタイミングもつくれればと思っています。

さらに、挨拶研修は今回の1回だけでは終わりません。定期的に繰り返し実施をする予定です。挨拶はその瞬間だけできるようになっても意味はなく、それぞれの社員にとって習慣レベルにまで落とし込む必要があります。しつこく続けることで、会社の文化として染み込ませたいと考えています。

 

 

 

挨拶を通じて、互いに認め合う社会づくりに貢献する

——そこまでして大成が挨拶にこだわる理由は、何なのでしょうか?

加藤:一つは、すでにお伝えした通り、挨拶力向上がそのまま大成のサービスの質に直結するからです。

また、社内に誰もが働きやすい環境をつくることも理由の一つです。研修でも挨拶は「相手の存在を認めています」「私は心を開いています」と相手に示す、重要なサインだと教わりました。

自分自身は一緒に働く仲間の存在を認め、心を開いているつもりでも、それが相手に伝わっていないことは多いです。挨拶を介して、社員同士が相手を大切に思う気持ちを伝えるようになれば、働きやすい職場に大きく近づくと思います。

相手を大切に思う気持ちを伝えることは、ダイバーシティやインクルージョンにも通じるはずです。立場や年齢、背景が違っていても、「あなたを尊重しています」というメッセージを送り合う環境がつくれれば、どのような人でも明るく前向きに働けるのではないでしょうか。

さらに言えば、私たちが起点となって、社外にも影響を及ぼせるとも考えています。「大成の挨拶はいいな、うちも真似しよう」と思う会社が増えれば、SDGsのなかで掲げられている「互いに認め合う社会」の実現に近づくのではと思います。

THR:同感です。挨拶はたった一言だけの、本当に小さな行為ですが、企業や社会を変える力をもっていると思います。人が成長して、企業が成長すると、社会も成長する。その最初の一歩を生み出しているのだ、という気持ちで研修をしています。

 

 

挨拶力向上で目指す、大成のブランド力アップ

——研修実施後、感じている変化があれば教えてください。

THR:まだ最初の研修が終わってから日が経っておらず、具体的な効果が出るのはもう少し先だと思います。研修後のアンケートでは、参加者の皆さんから「挨拶についてあらためて重要性を考える機会になりました」といったポジティブな回答をいただき、伝えたいことが伝わった研修だったと手応えを感じています。

また、社内では研修講師に対して、半分冗談っぽく大袈裟に「お疲れさまです」「おはようございます」と声をかける方が出てきました。

新しく始めることは何であれ、抵抗があるものです。最初は冗談っぽくでもいいので、これまでとは違う挨拶をする人が、増えてくれればいいなと思っています。続けるうちに、社員間の距離が縮まり、いつの日か自然とお互いを認め合う挨拶ができるようになるでしょう。

また、とある社員から、部署内での出退勤時の挨拶が活発になってきた、という声をもらっています。今までは、自分から挨拶をするタイプではなかった人が、相手の顔を見て、自分から挨拶をするようになったそうです。

加藤:誰かの変化は、別の誰かに影響を与えるものです。とくに役職者をはじめ、ある程度のポジションの人ほど、与えられる影響は大きいと思います。私も学んだ挨拶のノウハウを、積極的に実践していきたいです。

——今後の展望を教えてください。

加藤:引き続き、全社の挨拶力向上に力を入れ、将来的には企業価値向上を実現したいです。一見すると挨拶は、売上や利益に直結しにくいように見えます。しかし、大成の評判が高まることで、サービス継続率のアップや新規顧客の獲得につながるはずです。

とくに昨今は、さまざまなサービスが値上げ改定中です。「あれだけ気持ちいい挨拶をしてくれる会社さんだから、値上げにも応じよう」と思っていただける、一つの材料にできればと思っています。

社員一人ひとりが挨拶を通して外部から認められ、社員への評価が大成ブランドへの評価にもつながる。その結果、会社が大きくなり、社員にも還元されるという好循環をつくりたいです。

THR:同感です。大成のサービス紹介ページに書いてある「単に建物をきれいにするだけでなく、オーナー様の視点に立ち、建物の価値向上とテナント様の満足度向上に繋がるサービスを提供しています」という言葉の「建物の価値向上とテナント様の満足度向上に繋がるサービス」には、気持ちのいい挨拶も含まれます。

加えてこの時代、仕事自体は好きだけれど人間関係に悩んでいる、という人も増えています。誰もが気持ちよく働ける環境を目指して、互いに認め合う挨拶を社内に根付かせていきたいです。これから先、挨拶力向上を通して、顧客、社員、そして社会にもポジティブな影響を与えていければと思います。

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