大成株式会社では、事業のすべてのステージでSDGsへの取り組みを推進している。採用・教育の面では、国籍、年齢、性別に関係なくすべての人が活躍できるような柔軟な働き方を導入しており、昨今では多国籍スタッフの活躍も目覚ましい状況だ。
本企画「私の大成story」では、ダイバーシティ(多様性)の中でも特に“ジェンダー平等”を取り上げ、女性の働き方にフォーカス。数回にわたり、現役女性社員のホンネを探っていく。第1回は、東京本社の女性管理職が登場する。
Profile
島田幸恵(しまだ さちえ)
総務部東京課課長。主に総務および給与、労務関連の業務に携わりながら、ジェンダー平等や働き方改革を推進している。リーダーとしての自己分析は、黙って見守るタイプ。趣味はバイオリン、ピアノなどの楽器演奏。
職種にこだわりなく、新卒で事務職希望入社
20年後、まさか課長になるなんて…!!
大成には新卒で入社しました。就職先は事務職を希望しておりまして、特に業種にこだわりはありませんでした。たまたま学校に大成株式会社の求人が来ていたので、面接を受けたところ、トントン拍子で決まったという形です。当時は就職氷河期と言われていた時期でしたので、運が良かったと思います。
東京本社で事務処理全般と総務を行っていました。ただ、途中で部署の形態や人間関係、仕事内容の変化などもありましたから、ずっと同じ仕事をしているわけではありません。振り返ると以下のような形です。
仕事そのものはちょくちょく変わりました。経理を担当しつつ、事務処理全般を行い、傍らに社会保険を担当する、というような形です。ただ私は性格上身構える節がありますので、どんな仕事が来ても慌てないよう、あらかじめ人がやっている仕事を観察するようにしています。なのでいざ自分がやることになった場合でも、基本的には何でも受け入れて自分で回せるようにしていました。その都度仕事内容は変わりましたが、自分が直面する問題はだいたい共通していたと思います。
その中のひとつが、女性特有の人間関係です。どうしても悩まされることもありました…。
特定総合職に転換する前のことです。何に対しても「これ、私の仕事ですか?」と聞く後輩がいたんです。私の後任になってもらいたかったので、なるべく無理のないように仕事を引き継いでいたつもりでしたが、“これは困ったなぁ…”と思いましたね(笑)
私は強く出るのが苦手なので、なるべく自分が我慢するようにしています。もちろん言わなければならないことは言うようにしているのですが、できるだけ流せることは流してしまおうと思ってしまうタイプ。ただ、当時は解決できなかったので、上席(課長)に相談しました。この時期の5年間はいろいろなことが重なり、つらい時期でしたね。
特定総合職に職群転換したのは、当時社内で女性管理職を増やしたいという動きが出てきたことがきっかけです。いつの間にか部署の中で一番年上、かつ社歴も一番長くなっていた私に、管理職候補の話が舞い降りてきました。私は自分が特定総合職に転換するとは想像していませんでしたし、ましては課長になるなんて夢にも思っていませんでした。ですが何でも受け入れるという信念のもと、頑張ってみることにしました。
実際、一般職から特定総合職に転換したときは戸惑いました。同じポジションで仕事をしていても、それまでとの違いを出していかなければならなかったからです。課長になってからも同じですね。“自分がどう変わっていけばいいのか”というプレッシャーは、常に抱えています。
ただ今のところ特にやりにくさは感じていません。周りの上席がいろんなアドバイスをしてくださるので助かっています。「もう少し先回りしすぎる考え方を直したほうがいい」と注意されたこともありますが、これは私の性格なのでどうしようもないんですよね…(笑)。もしかしたら、比較的現実的な考え方をしてしまうのは、女性にありがちなことなのかもしれないですね。
重要書類確認の合間に会議、そして予期せぬトラブル発生!
女性管理職の1日に密着
ある1日を紹介します。仕事内容は毎日違うので、これはあくまでも一例です。
8:45 今日のスケジュール確認
始業は8時45分で、定時は5時半です。残業する日もあります。
まずは1日の始まりに、会議予定やその日片付けなければならない仕事など、自分のスケジュールを確認します。
9:00-10:00 採用申請書入力
採用申請書というのは、給与計算に関わる大事な書類です。各部門から新しく入社した従業員に関する書類が回ってくるので、それを端末に打ち込みます。
10:00-11:00 会議出席
現在、人事給与システムの見直しをしているので、プロジェクトの進捗会議などがメインです。会議は対面で行うこともあれば、テレビやPCを使いオンラインで行うこともあります。
11:00-11:30 給与計算についての問い合わせ対応
給与に関して現場の従業員からの問い合わせや、計算間違いをしてしまった場合の相談など、様々なケースに対応します。
11:45-12:45 昼休み
昼休みは1時間です。外に出て食事をすることもありますが、「T-GARDEN」は居心地がいいのでよくここでくつろいでいます。ホッとひと息つける時間。
13:00-14:00 会議出席
午前中の会議と同様
14:00-14:30 社宅でトラブル発生(エアコン水漏れ)
外国人スタッフの社宅の管理や、家電・備品の準備なども総務の仕事。この日は部屋のエアコンから水が漏れたという連絡を受け、業者を手配することになりました。社宅は女子寮なので、私が直接様子を見に駆けつけることもあります。
14:30- 定期昇給データ取り込み、チェック
昇給の時期には、全従業員分のデータを給与端末に取り込んで細かくチェックします。
女性の活躍=表舞台に立たせることだけじゃない
固定概念が女性の場を狭めているのでは?
今はちょうど会社にとって過渡期で、女性管理職が少ない状況ですが、これからはどんどん増えていくと思います。ただ管理職はあくまでも管理をする立場なので、男女関係なくその覚悟がある人がなるべきかな、と思うんです。
“女性が活躍できる環境”というと、どうしても女性を役職に就かせるとか、表舞台立たせるようなイメージがありますよね。実際今いろんな企業が取り組もうとしているのも、そういう動きなのかなと思います。
でも、例えば事務職の人が活躍していないのか、と言われたら決してそんなことはありません。ただ、世の中的に“事務仕事=女性の仕事”という固定概念が根強く残っていて、そのことが女性のみならず、事務職が適している男性の活躍の場すら狭めている気がするんです。これを取り払うことで、本当の意味で適材適所に落ち着くことができますし、ひいては性別を問わず個々の能力を活かせるようになるのではないかと思っています。
また、妊娠や出産を経た後も仕事を続けたい女性が増えている中、今の制度や雰囲気だと当事者の女性のみにスポットライトを当てるケースが多いような気がします。1歩間違えると、周りでサポートしている人が負担や我慢を強いられる状態になりかねません。全員が働きやすい環境にするためには、どちらの立場も大切にしなければならない。それが女性にとって長く活躍する上で大切だと思うんです。固定概念の話にしても、妊娠出産を経て頑張る女性の話にしても、全体のバランスを見ていくことが大事だと思いますね。
女性の後輩へのアドバイスですか?
自分の担当職務の中には、必ずどこへいってもやりたくないことや苦手な仕事、または“これは私の仕事じゃないのに…”ということが必ずつきまといます。ですがそこから逃げることは、結局誰かの仕事を増やしてしまうことになります。もちろん時と場合によってはきちんと断らなければならないこともあります。でもせっかくいつも頑張っているのに、1つ断っただけでマイナス評価になってしまったら損じゃないですか(笑)。仕事に対して責任を果たしていくことが結果的に自分のためになりますし、次のステップに繋がると思いますよ!