安井 逸雄(やすい いつお) ダイバーシティ部 部長
広告代理店、人材派遣会社を経て2008年大成株式会社入社、営業部、企画部、クリーン業務部を経て、現在ダイバーシティ部長として現場の安全フォロー、改善・健康経営優良法人関連の取り組み、障がい者雇用に係る業務を行っています。ダイバーシティ部は大成で働く皆さんが安全に安心して働ける環境整備に取り組んでいます。
ーーまずは、安井さんが部長を務めるダイバーシティ部について教えてください。
安井:ダイバーシティ部は、すべての方が安全に、そして健康に働けるための環境を整える部署です。
各部・各現場から集まったいいアイデアや仕組みを吸い上げて、ほかの現場へ広げています。健康経営の推進だけでなく、事故防止活動、障がい者の活躍の場づくりにも取り組んでおり、部員は現在は5名体制です(2026年6月時点)。

ーー「健康経営優良法人」に認定されるには、最初に企業側からの申請が必要で、その後、審査を経て認定の可否が決まると伺いました。大成が「健康経営優良法人2026」に選ばれるまでの経緯を教えてください。
安井:正直にお話しすると、最初に申請した動機は「自分たちが、客観的に見てどのくらいのレベルなのか知りたい」というものでした。「健康経営優良法人2026」への認定というよりは、さらなる改善のためのポイントを知るために申請をしたのです。
ーー外部のコンサルタントに頼りながら基準を満たしていく企業も多い認定制度です。大成の場合は、狙ってとったわけではないのですね。
安井:そうですね。大成の場合は、これまで積み重ねてきたことが、ありのまま評価された結果、認定いただけたかたちです。
審査にあたって、ヒヤリング項目は約50項あり、満たせていなかったのは4項ほどでした。ほとんどの項目を、普段の業務のなかで自然にクリアしていました。
ーー公的な認定を受けたことには、どのような意義を感じていますか。
安井:いくつかありますが、いちばんの意義は、次の世代から「選ばれる企業」に近づけたことだと思います。
従業員への姿勢や働きやすい環境づくりを、公的機関に認めていただけたことは、大成で働く本人だけでなく、ご家族に対しても「従業員に寄り添う会社だ」と証明できたのではないでしょうか。
とくに採用面では、今後も人手不足が続くと見込まれるなかで、当社の取り組みが国に認められたことは、他社との差別化という点でも大きいと感じています。
ーーそもそも、大成が健康経営に取り組んでいた背景には、どのような思いがあるのでしょうか。
安井:「健康経営」という言葉を標榜し始めたのは2024年ごろからです。
大成で働く皆さんに健康的に長く仕事をしてもらうためには、会社側が長期的なビジョンをもって、健康保持・増進に注力すべきと判断したことが主な理由です。
また、こういった姿勢・方策は採用面でも会社にとってプラスになると考えています。これは実際の取り組みを通じて「従業員を本気で大切にしている会社だ」と世の中に示し続けること自体が、採用競争力の施策になると考えたのです。
加えて、健康経営に取り組む姿勢は、従業員や入社を検討される方だけに向けたものだけではありません。取引先を含めた社会全体に対して、大成の企業方針をしっかりとアナウンスしたいという思いもありました。
ーー「健康経営」を標榜し出したのは2024年からということでしたが、その前から同様の考え方をしていたのでしょうか。
安井:人を大切にするという基本的な考え方は、創業時から存在し、その基本は今も変わっていません。
当社の30年史や50年史を読み返すと、昔から「人を大切にする」といった言葉を、度々目にします。健康経営という言葉こそありませんでしたが、今と同じように、従業員に対しての安全や健康についての意識づくりや取り組みは、今日まで受け継がれてきたものと思います。
背景には、創業から続けるファシリティマネジメント自体が、「人が主役」の仕事だということがあります。近年は、あらゆる業務をテクノロジーで代替する動きが加速しており、私たちも例えば警備や清掃、配送などの一部業務を代わりに行ってくれるロボットの提供を進めてきました。
しかし、ロボットで代替できる領域には限界があります。人が動かなければ現場が回らないのは、今も変わりません。だからこそ、人を大切にするという思いが会社の強みとして自然に育まれてきたのかなと思います。

ーー健康経営の実現に向けて、とくに注力していた取り組みを教えてください。
安井:数値でわかりやすいのは、健康診断受診率向上のための取り組みです。「100%」を目標に、さまざまな方法で社内周知をおこないました。
とくに難しかったのは、パートタイマーの方や実習生の方まで案内を行き届かせることです。実習生の皆さんには、関係部の協力も頂き同じ案内を母国語に翻訳して届け、一人ひとりが自分で理解し、対応できるようにしました。
加えて、社内コミュニケーションツールや、月に1回発行する社内報・安全衛生月報をはじめとする定期発行物、ポスターなどを通じて健康診断の受診を呼びかけましたが、とくに効果が大きかったのは、各現場の管理責任者・担当者からの呼びかけでした。

(健康に関する定期発行物の一例、左『安全衛生タイムズ』、右『安全衛生月報』)
さまざまな取り組みの結果、受診率は2021年度の80%から、2024年度には94%と14ポイント上がりました。
ーー健康診断以外にも、取り組んでいたことがあれば教えてください。
安井:テレワークやフレックスタイム制があります。コロナ禍をきっかけとはなりましたが、その後労働時間の適正化やワークライフバランスの確保につながる取り組みに、メンバーそれぞれの事情に合った勤務形態を選べるように仕組みを整えました。
また、ちょっとしたことですが東京・名古屋本社に「ぶら下がり健康器具」を置いたことは、評判がよかったです。実際に使ってもらうというよりは、「なぜ置いてあるのだろう」と各メンバーが考えるきっかけになり、健康を意識してもらううえで効果があったと感じています。

(東京・名古屋本社に設置されている「ぶら下がり健康器具」)
ーー健康経営を推進するうえで、安井さんが大切にされていることを教えてください。
安井:私たちが目指すのは、従業員の不調も見逃さず、健康診断などを通じて一人ひとりをいち早くサポートできる環境づくりです 。
健康経営の本来の趣旨も、同じところにあると思います。事故や病気を事前に防げる環境を整えておくことは、地味ですが、本質的な取り組みです。
従業員一人ひとりの健康が、仕事によって損なわれることも、それが原因で周りを不幸にすることもあってはなりません。誰も不幸にならない企業であるために、できることを精一杯進めていきたいと思っています。
ーー健康経営について、今後の展望を教えてください。
安井:今回の「健康経営優良法人2026」選定を励みに、これからも健康経営に関する取り組みを続け、さらに効果の高い活動を行っていきたいと考えています。
健康にとって大切なのは、睡眠や運動、食生活など、一人ひとりの心がけや日々の行動です。これらは、忙しさのなかで忘れられがちで、仮に気をつけていても、すぐに結果が出るものではありません。日々意識し続けてもらうのは、なかなか難しいです。
だからこそ、これからも発信を続け、健康について振り返る機会を提供し続けたいです。
健康経営は決してきれいごとだけではなく、ビジネスの根幹を支える重要な考え方だと思います。社員一人ひとりが健やかに働けてこそ、お客さまに持続的な安心を提供し、末永く信頼されるパートナーであり続けられると考えています。
これからも健康経営を積み重ね、一緒に働くメンバーがいつまでも健やかに働ける環境をつくり、大成の成長にも貢献し続けたいです。
