2021年に「私たちのSDGs宣言(以下、SDGs宣言)」を掲げ、サステナビリティを重視した経営体制へと本格移行した大成株式会社。「早生桐苗を2026年までに4ha、2400本植林」を目標の一つに掲げ、2022年5月、三重県いなべ市での植林をスタートさせました。
早生桐苗プロジェクトは大成社内にとどまらず外部へと広がり、2024年11月には三井住友銀行の方々との共同作業がおこなわれました。当日の様子、プロジェクト参加者の感想、学びについて、実際に参加したメンバーの声をお届けします。
ーー早生桐苗プロジェクトの現状(2025年1月時点)を教えてください。
佐々木
そもそも早生桐苗プロジェクトとは、木材と紙を主材料にしたオフィス家具シリーズ「furniTure」の材料となる早生桐(そうせいぎり)を、2026年までに4ha、2400本植えることを目指すプロジェクトです。早生桐は、CO2の吸収量が他木の10倍もあり、通常の桐が20年程度で成木になるところ4~5年で成木になる特徴があります。植林から自社で手がけ、資源を循環的に利用して廃棄物を最小限に抑え、環境負荷を軽減するサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。
(プロジェクト立ち上げの目的や思いについては、こちらもご覧ください)
現在は約675本(2025年1月時点)の木が順調に成長しており、一番成長の早いものは10メートル近くまで達している、という状況です。鹿に若葉を食べられたり、猿に枝を折られたりと、獣害による影響が大きく、途中で苗の植え直しをおこないました。当初の計画では、毎年1ヶ所ずつ植樹用地を増やす予定でした。しかし今は戦略を変え、まずは1ヶ所で育成ノウハウを確立し、その知見を次の用地へと転用させるつもりです。
ーー三井住友銀行との共同作業が、実現した経緯を教えてください。
佐々木
実はもともと三井住友銀行さまとは、取引がありました。会話を重ねるなかで、大成のSDGs関連プロジェクトに興味をもっていただき、植林体験に参加したいとオファーをいただきました。私たちとしては、自社の活動が他社に広がる機会です。ぜひ、とお受けして実現したのが今回の共同作業でした。
ーーなぜ、早生桐苗プロジェクトへの参加をオファーしたのでしょうか。
佐伯
SMBCグループは現在、「社会的価値創造」を経営の柱の一つとして掲げており、経済の成長とともに、社会課題が解決に向かい、そこに生きる人々が幸福を感じられる「幸せな成長」の実現に貢献できるよう日々取り組んでいます。その施策の一環として、国内外の拠点がそれぞれの社会的価値の創造に取組む日「シャカカチ DAY」を設けています。
(「シャカカチ DAY」について、詳しくはこちらの公式ページをご覧ください。)
SMBCグループメンバーそれぞれが、自分達に何ができるかを考える中、その具体的な活動としてあがったのが、大成さまの早生桐苗プロジェクトへの参加でした。
大成さまが候補にあがった背景には、私たち自身が早生桐苗プロジェクトに関係していたことがあります。実は、三井住友銀行名古屋拠点では、大成さまが手がける木材と紙を主材料にしたオフィス家具シリーズ「furniTure」を導入しています。また、オフィス空間づくりの参考にさせていただくために、実際に大成さまのオフィスフロアを見学もさせていただきました。
三井住友銀行名古屋拠点にて、実際に導入されたオフィス家具「furniTure」
大成名古屋オフィスの受付付近の様子。紙の芯材を使った家具を利用したり、鳥のさえずりや川のせせらぎを聞いたりと、自然の中にいるようなリラックスした空間がコンセプト
三好
他にも、我々名古屋法人営業第二部の中でさまざまな選択肢を検討しました。そのうえで、自分たちが本当にやるべきこととして、多くのメンバーから支持を得たのが、大成さまの早生桐苗プロジェクトだったのです。社会的価値の創出に挑戦している大成さまの活動を体験することで、新たな学びを得られればという狙いもありました。
佐々木
共同作業当日は、三井住友銀行さまより10名にお越しいただき、大成からも若手を中心に7名が参加し、計17名で作業をしました。
ーー実際に、共同作業に参加した感想を教えてください。
伊藤
とにかく、想像以上に大変でしたね。午前中は大成のメンバーだけで作業をおこない、午後から三井住友銀行の皆さんに加わっていただきましたが、手伝ってもらわなければ終わらない作業量でした。木を育てることの難しさを、身をもって実感しましたね。
外種子田
私も、想像以上の大変さに驚きました。地方出身で農作業の経験が多少あり、そのときの経験から「そこまで大変ではない」と思っていました。しかし、実際にやってみると想像以上でしたね。
三好
同感です。力仕事になると覚悟して臨みましたが、予想以上でした。木を育てることがどれほどの大変か身をもって体験したことで、普段何気なく使っている割りばしや紙を、もっと大切に使おうと思いましたね。
佐伯
私も皆さんと同じです、杭打ち作業では、腕がパンパンになりました(笑)。ただ、終わったあとは清々しい気持ちでしたね。大成さまのSDGs活動は、これまでの会話を通じて知っていましたが、体感することで、その意義や大変さをより深く理解できました。
ーー共同作業に参加して、学んだことや成果があれば教えてください。
伊藤
本プロジェクトを「会社の取り組み」でなく「自分ごと」として捉えられるようになったことは、私にとって大きな成果でした。これまでもさまざまなメディアを通じて、大成に限らず、SDGsに取り組む企業のストーリーを目にする機会はありました。しかし、それはあくまでも画面越しの世界で、どこか自分とは関係のない世界の出来事だと思っていたのです。
今回、実際に作業に参加して汗を流したことで、SDGsへの取り組みを身近に感じられるようになり、他企業の取り組みへの見方も変わりました。
外種子田
私にとって今回の共同作業への参加は、大成の掲げる「SDGs宣言」の裏に、どれほど地道な活動の積み重ねがあるか、実感するいい機会でした。
そもそも私が就職活動をしていたころから、大成は「ACTION!SDGs」をはじめ、さまざまな発信をおこなっていました。「大成は、社会的意義のある活動に取り組んでいる企業」と、ポジティブな印象をもって、面談や面接を受けていましたね。今回のプロジェクトを通して、いい意味で期待通りだったなと思いました。加えて、自分が大成の一員であることを、より誇りに思えるようにもなりましたね。
三好
私は、今回の活動に参加したことで、より社会的価値創造へのイメージがわきました。また、今回植えた早生桐は、通常の木よりも多くのCO2を吸収し、将来的にはオフィス什器へと生まれ変わります。単なる環境保全だけでなく、ビジネスの観点でも意味のある取り組みであることを実感し、SMBCグループが追求する社会的価値と経済的価値の両立を体現するヒントをもらえた気がします。
佐伯
同感です。二宮尊徳の言葉に「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」という言葉があります。これからますます、あらゆる企業の活動は、社会の持続可能性と事業の持続可能性の両方を満たす必要があると痛感し、そうでなくては成立しないのだと考えさせられる機会でした。
今回参加させていただいた10名に留まらず、議論を重ねた名古屋法人営業第二部のメンバーにとって、会社や自分自身が社会にどう貢献できるか、考えるキッカケを与えてもらったと思います。一度ついた火を絶やさず、大成さまのように持続的に、社会貢献できる風土を築きたいです。
ーー早生桐苗プロジェクトにおける、今後の展望を教えてください。
佐々木
目標である2,400本の植樹を達成させるべく、活動を続けるつもりです。
また、単なる植林にとどまらず、植林を軸とした持続可能なビジネスモデルの構築にも注力し、「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現を目指すつもりです。そのためにも、育てた早生桐をオフィス家具にだけ使うのではなく、他製品の製造にも挑戦したいと考えています。
たとえば今、とあるバイオマス燃料を扱う企業さまと協議しており、早生桐の端材を燃料として加工できないかという話が進んでいます。ありがたいことに、長年発信を続けるなかで、私たちの活動に興味をもってくださる企業さまは年々増えてきました。引き続き、多様なパートナーさまと連携しながら、企業活動の拡大と、持続可能な社会の実現の両立に取り組み続けたいです。
ーー最後に、三井住友銀行のお二人にも、今後の展望があればぜひ伺いたいです。
佐伯
今回のプロジェクト参加を通じて、社会的価値創造の重要性を議論する機会が増え、名古屋法人営業第二部のメンバーの意識が変わったと感じています。これを一過性のものにせず、社会的価値創造に取り組み続ける文化を醸成していきたいです。
三好
同感です。SMBCグループでは、グループに所属する全社員を対象とした表彰制度「シャカカチAWARD」があり、全国の拠点で優れた社会的価値創造の取り組みを共有しています。今回の体験を社内に広め、グループ全体の意識向上に貢献できればと考えています。
佐伯
また、SDGs活動に興味のある企業と、大成さまのような実際に取り組みを始めている企業をつなぐことにも、積極的にチャレンジをしたいです。すでに、私たちのお客さまの中には、早生桐苗プロジェクトに興味をもっている企業も多くあります。すぐに協業とはいかなくても、何かしらのコラボレーションが生まれる起点になれればと思っています。
三好
私が担当させていただいているアパレル業界の企業さまは、サーキュラーエコノミーへの取り組みについて、各社が独自のモデルを模索されています。今回の経験を通じて、その意義をより深く理解できたことで、今後お客さまとより深い議論ができるようになったと思っています。お客さまの、社会的価値と経済的価値、両輪の成長を支援していきたいです。
引き続き、銀行だからこそできることを模索し、世界の社会課題解決に大きなインパクトが与えられる存在を目指します。